長崎「軍艦島」(軍艦島実測調査資料集より)

「九州の伝承遺産シンポジウム2005長崎」

開催趣旨

 期日場所

 ・期日  8月21日(日) 13:00〜17:30 (開場12:30)
 ・会場 長崎大学文教キャンパス中部講堂(長崎市文教町1−14)
      路面電車系統1・3番「長崎駅前」から 「赤迫(あかさこ)」行き 「長崎大学前」下車
 
 講演内容(名前リンク先に略歴)
■軍艦島のビデオ上映と現状報告 「軍艦島調査報告」
後藤恵之輔(長崎大学教授)
■基調講演 「軍艦島の近代建築の歴史的意味」
阿久井喜孝(東京電機大学名誉教授)
「九州の近代遺産群を世界遺産に」
後藤治(工学院大学教授・文化庁出身)
■各地の伝承遺産紹介 「鹿児島、志免、熊本、大牟田、高島」
■パネルディスカッション
「地域の伝承遺産を活用・保存する」
〇コーディネーター 後藤恵之輔(長崎大学教授)
〇パネリスト 古庄信一郎(福岡志免町町会議員)
長谷川雅康(鹿児島大学教授)
幸田亮一(熊本学園大学商学部教授)
坂本道徳(軍艦島を世界遺産にする会)
〇アドバイザー 阿久井喜孝(東京電機大学名誉教授)
三藤利雄(長崎県立シーボルト大学教授)
中村享一(建築家)
加藤康子(都市経済研究家)
■主催 NPO法人軍艦島を世界遺産にする会・長崎大学(工学部社会開発工学科)
■後援 長崎市 長崎商工会議所、長崎県観光連盟、九州産業考古学会、
日本建築学会九州支部(予定)、日本建築家協会九州支部(予定)、
構造技術者協会九州支部(予定)、日経アーキテクチュア(予定)
 <参加希望・問合せ>
 参加ご希望の方は、郵便番号、住所、氏名、年齢、 職業、電話番号をご記入の上、
 往復ハガキまたはFAX 、メール(office@gunkanjima-wh.com) にてお申込みください。

 NPO法人軍艦島を世界遺産にする会 「九州の伝承遺産シンポジウム」係
 〒851-2128 長崎県西彼杵郡長与町嬉里郷456-11
 TEL ・FAX : 095-883-8811
            http://www.gunkanjima-wh.com/


開催主旨
 江戸時代、長崎はわが国唯一の世界との接点として、長崎をとおして多くの文物が海外から日本に持ち込まれるとともに、日本の文化を海外に紹介する窓口であった。
 明治維新前後、長崎は九州諸地域とともにいち早く当時世界最先端の産業技術を導入し、わが国近代化の牽引力となった。わけても軍艦島(端島)は明治時代に三菱財閥により開拓された炭坑の島であり、長崎の地にあって、三菱重工業長崎造船所とともに、日本の近代化ならびに第二次世界大戦後のわが国の復興に多大の貢献を果たした。明治維新以来百数十年が経過した21世紀初頭の現在、長崎造船所のようにいまなお現役の施設として社会経済的に重要な役割を担っている一方で、多くの施設はすでにその役割を終えている。
  たとえば、軍艦島は1974年に廃坑となって以来、島民はすべて島を退去し、廃墟と化している。こうした産業上の遺跡や遺物のことを一般に産業遺産というが、改めて周囲を見回してみると、九州各地にはこうした産業遺産をはじめとして先人の営みによる文化的な遺産がいまなお数多く散在している。
 文化的な遺産のなかでも特に伝承に値する遺産を伝承遺産と呼ぶことにすれば、伝承遺産をこのまま朽ちるにまかせてよいのだろうか。われわれの過去をそのまま放置して忘れ去ってしまってよいのだろうか。われわれはここにはっきりと、そうではない、そうしてはいけないと宣言する。そもそも、社会が未来に対して開かれているところに近代社会のひとつの特質がある。そこでは未来が不確実である。ここに現代社会の不安定さが顕在化する。それを回避するためのひとつの手だてとして、過去を温ねることが望まれる。いたずらに過去に拘泥するのは論外であるが、新奇なものを追い求めるだけでは不足である。
 ところで、伝承遺産は物言わぬ過去の語り部であるとともに、未来を照らす導きの師である。伝承遺産は人々の情操をはぐくみ、心を豊かにするとともに未来に思いをはせるためのよすがとなる。こうした伝承遺産を保存し修復し活用することにより、その存在を人々が知識として広く共有することは、人々が等しく己の過去を知り、未来を訪ねるための契機をなすのであり、ここに伝承遺産の普遍的な意義があるのである。
 本シンポジウムは長崎からの発想であり、九州との連帯を求めるとともに、日本全国さらに全世界へ向けての発信である。本シンポジウムをつうじて、伝承遺産を保存し修復し活用するための活動に多くの人々が参加することを呼びかけるものである。
シンポジウム開催発起人一同
シンポジウム参加者略歴
阿久井 喜孝(基調講演)
  東京大学建築学科卒業。東京電機大学名誉教授
  1974年軍艦島(端島)閉山後の軍艦島の実測調査を実施した 「軍艦島実測調査資料集」の編纂に携わる
  軍艦島の全貌を語るにはこの著書は欠かせない


後藤 治(基調講演)
  工学院大学建築学科教授
  かつては文化庁文化財保護部建造物課文化財調査官を務める
  日本建築史,歴史的建造物の保存・活用・修復に関する諸制度及び技術開発


後藤恵之輔(コーディネーター)
  長崎大学大学院生産科学研究科教授
  同工学部 社会開発工学科教授
  リモートセンシング、都市計画、地盤工学、防災工学、環境工学、福祉工学、産業考古学、ほか
  2004年に軍艦島に上陸、現状調査、屋上緑化の調査に当たる


長谷川 雅康(パネリスト)
  鹿児島大学教育学部教授
  技術教育論、産業考古学の研究と教育に従事
  「薩摩ものづくり研究会」代表


幸田 亮一(パネリスト)
  熊本学園大学商学部教授
  熊本産業遺産研究会事務局長


古庄 信一郎(パネリスト)
  福岡志免町議会議員 新世紀の会・会長(粕屋郡若手議員の会)
  志免立坑櫓と粕屋南部の遺跡を活かす議員の会・会長


坂本 道徳(パネリスト)
  NPO法人軍艦島を世界遺産にする会・理事長
  軍艦島(端島)閉山までの8年間を島で暮らす
  2000年より軍艦島(端島)保存・活用に向けた活動推進


三藤 利雄(アドバイザー)
  東京大学工学部情報工学科修士課程終了
  現在、長崎県立シーボルト大学教授
  コミュニケーション技術論、情報通信論


加藤 康子(アドバイザー)
  都市経済評論家
  世界各地にて鉱工業を中心とした産業遺産の保存と活用について調査
  2003年9月アジアで初めての国際鉱山会議を北海道空知の赤平に誘致


■中村 享一 (アドバイザー)
  1951年長崎市生まれ。
  建築家。中村享一設計室有限会社代表取締役。
  福岡建設専門学校教授。日本建築家協会会員。日本建築学会会員。